あなたの裏アカウント、調べられています(2)調べてもいいのか?
「裏アカ調査って身辺調査みたいなものじゃないの?確か採用時に応募者の身辺調査はしてはいけなかったのでは?」と思われる方もあるでしょう。2019年には個人情報に関する「リクナビ問題」*1が大きく報じられたのも記憶に新しいところです。
実は採用時の身辺調査は法で禁止されてはいないのです。ですが家族状況や生活環境といった、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しない、そのために「本人に責任のない事項」(出身地や家族の職業等)や「本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)」については、採用面接時に尋ねないよう厚生労働省は指導しています。(詳細はこちら「公正な採用選考の基本」)
とはいえ民法上「契約自由の原則」*2があります。ですので法的には、思想信条を理由に採用を拒否しても、また思想信条についての質問や調査をすることも違法ではありません。
*1 2019年の「リクナビ問題」とは、就活サイトが就活生本人には無断で「内定辞退予測率」を有償で大手企業に提供していたという出来事です。個人情報保護法に抵触するということで就活サイトが個人情報保護委員会から勧告・指導を受けています。
*2 「契約自由の原則」とは、人が社会生活を営むに際し結ぶ契約は、公の秩序や強行法規に反しない限り、当事者が自由に締結できるという民法上の基本原則のことを指します。これは民法第90条(公序良俗違反の法律行為の無効)や第91条(任意規定と異なる意思表示)などがその根拠となっています。