Web会議システム利用例|テレワーク

Web会議システム利用例|テレワーク

2018年6月に成立した働き方改革関連法(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が、2019年4月から順次施行されています。その大きな柱のひとつは「長時間労働の是正・多様で柔軟な働き方の実現」ですが、「柔軟な働き方」として注目されているのが「テレワーク」です。2020年までに、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上」とする政府目標が設定されていますが、テレワーク導入にあたり、Web会議システムがどのように役立つか見てみましょう。

場所にとらわれない柔軟なワークスタイル、テレワーク

最近よく耳にするようになった「テレワーク」という言葉ですが、実際に自身がテレワークで働いているまたはテレワークで働いている人が身近にいるという人はあまり多くありません。ではテレワークとは具体的にどんな働き方を指すのでしょうか。

「テレワーク」とは「離れた場所で働く」?

テレワークとは英語で「telework」と書きます。tele(離れた)とwork(働く)という言葉を組み合わせてできた造語で、1973年、当時南カリフォルニア大学の学際的研究のディレクターをしていたJack Nillesによって提唱された言葉です。「テレワーク」は「離れた場所で働く」、本来の意味は基本的には会社のオフィスで働くことをメインとしながらも、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を活用しオフィス以外の場所からも働くことがある場合に使われます。

ですが日本でテレワークと呼ばれる働き方には、場所や頻度・目的によりさまざまな種類があります。ここでは日本におけるテレワークを、テレワークJAPAN 運営事務局による「働き方」と「テレワークをする背景・理由」という視点で分類してみます。

働き方による分類とテレワークをする背景・理由による分類

テレワークには大きく5つの分類があります。まず働き方による分類です。これは、企業に属しているかどうかで分類されます。企業やグループに属して社員やグループのメンバーとして雇用されて働く場合は「雇用型テレワーク」ですが、フリーランス、SOHO等自営で働く場合は「自営型テレワーク」という分類になります。

またテレワークをする背景・理由、場所でも分類されます。移動しながら働く必要があるために社外で仕事をする「モバイル型テレワーク」、育児や介護、病気やけがなど様々な理由で外に出にくいために家で仕事をする「在宅型テレワーク」、最近では、企業が地方都市などにコワーキングスペースを借りる等して施設を用意し働いてもらう「サテライトオフィス型」も増えています。

この大きな分類の5つの型が、たとえば雇用型サテライトオフィス型(例:会社に属する人が自宅近くのコワーキングスペースで仕事をする)、自営型在宅型(例:会社やグループに属していない人が外出しにくい状況にあるため、家で仕事をする)というような多様な労働パターンを作りだします。

テレワークの導入率は

総務省の2017年の調査でテレワークの導入状況をみると、「導入している」企業の割合が 13.8%、「導入していないが、 具体的に導入予定がある」企業は4.2%でとなっています。多様な人材の多様な働き方を可能にするように思えるテレワークですが、「テレワークで働いている人の話をほとんど聞かない」というのが現実のようです。

テレワーク普及の障壁となっているのは

テレワーク発祥の米国で先駆的にテレワークを導入していたヤフーが2013年に、IBMが2017年にそれぞれテレワークを廃止しています。グーグル、アップルやフェイスブック等はテレワークを積極的にすすめていません。日本でも導入企業が2割に満たないという事実を考えると、テレワークに多数の課題や懸念が存在することが推測できます。では具体的に生じ得る問題点について見ていきましょう。

勤怠管理の難しさ

ヤフーの場合、テレワーカーの勤務実態は大変ずさんなもので、勤務時間中に副業していたり起業していたり野放し状態であったということがテレワーク廃止発表後明らかになりました。ですので、ヤフーのテレワーク廃止理由の一つはテレワーカーの勤怠を適切に管理できていなかった点ではないかと考えられます。

ヤフーの事例でもわかるように、テレワーカーの勤怠管理が難しいのは事実です。目の届かない、ごまかそうと思えばいくらでもごまかせる状況になるテレワーク、そのため勤務時間内の適正な就業や無駄な時間外労働を予防するための管理の仕組みや制度の整備を行わなければなりません。

協力体制、組織構築を阻むコミュニケーション不足

米国IBMの場合、「出社か退社」を迫られたのは特定のオフィスに属さずフルタイム在宅勤務をしていた社員でした。テレワークをすることで、オフィスコスト削減の効果は確かに上がりますが、チームワークやコミュニケーションが欠如しこのコミュニケーション欠如の悪影響の方を重視しての廃止だったと考えられます。

従来の、全員が同じ空間で仕事をするという働き方であれば、いつでもすぐに顔を合わせて話すことが可能で、情報共有やコミュニケーションもスムーズに行えます。しかしそれがテレワークとなると、それぞれの場所で孤立して仕事をするため、コミュニケーションが取りにくくなります。出社していれば、オフィスの中で一声をかけるだけで済むことが、テレワークではメールや電話、ネットを駆使しなければできず、それがチーム力や組織力の低下を招いてしまいます。

情報漏洩のリスクは

オフィス以外の場所で会社所有の機器を持ち出して仕事を行うテレワークでは、おのずと情報漏洩の危険が高まります。重要な機密情報が入っているパソコン、スマホ、USBメモリの紛失、盗難という報道は日常茶飯事です。盗難された機器が他の犯罪の踏み台となることもあります。また紛失盗難以外にも仕事をする場所によっては画面を覗き見されたりする危険も発生します。

働く場所が多様化するに伴い、管理者は漏洩の危険を回避するために多種多様な危険を想定し対策を取らなくてはならなくなり、さらに危機管理に関する徹底した教育活動も必要になってきます。こういったことが大きな障壁となって、テレワーク導入をためらう企業が多いのも実情です。

テレワーク導入に伴う問題点を解決するには

勤怠管理、意思の疎通、情報漏洩の危険が伴うテレワークですが、導入に成功している企業も多くあります。そういった企業はどのように問題点を解決しているのでしょうか。

勤怠管理

テレワークで勤怠管理が難しいのは、テレワーカーの様子が会社側で把握できないからです。これはWeb会議システムを使用して解決できます。テレワーカーがWeb会議システムで常時接続することで、会社側からその姿をディスプレイ越しに見て、テレワーカーの勤務状況や勤務時間の把握が可能となります。テレワーカーの様子で気になることがあれば、会社側からすぐに声をかけ確かめることも可能です。

意思の疎通

ビジネスパーソンに欠かせない意思の疎通、「報連相」ですが、これは組織の上下を結びつける重要な役割を担っています。オフィス以外で仕事をしているテレワーカーとの「報連相」を実現するにはWeb会議システムが有効です。Web会議システムを常時接続することでテレワーカーからも社内の様子を見ることができ、コミュニケーションをとりたい相手が今、話ができる状態なのかどうかをうかがうことが可能となります。Web会議システムの映像を使って実際に姿や顔の表情を見ながら話すことにより、電話やメールではわからないニュアンスをつかむことが可能です。

セキュリティ対策

人的対策として、フィッシングや標的型攻撃等の被害を受けにくくするために、まずテレワーカー自身が情報セキュリティに関する必要な知識を習得していることが必要となってきます。

さらに技術的対策としては、社内限定の情報をテレワーカーと共有するために、セキュリティが十分担保されたクラウドサービスを利用することでセキュリティ対策をすることが可能です。また特別なブラウザを用いてドキュメントのダウンロードを制限することで情報の流出を防ぐという方法や、テレワーク端末内にテレワーク業務用の仮想環境を設定してセキュリティ効果を上げる方法もあります。

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